車のへこみ、自分で直せる?吸盤・熱湯・パテの限界と、板金以外の直し方
ぶつけた覚えのない小さな凹み。ドアを開けた先に付いていた、へこみ。修理に出すほどでもない気がして、「自分で直せないかな」と調べている方は多いと思います。
当店は塗装をしないで凹みを直すデントリペア(PDR)の専門店です。自分で直そうとしたあとの車を、直しに行くことがあります。その立場から、市販の道具を使うと実際に何が起きるのかを、正直に書きます。
写真を1枚お送りいただければ、修理できるかどうかと、おおよその料金幅をお返事します。正式なお見積りは現車を見てからです。当店のデントリペアは、小さい凹みで1点1万円台から(税込・出張費込)です。
まだ触っていない状態でご相談いただくのが、いちばん確実です。
先に結論|道具の問題ではなく、経験と技術の問題です
先に、いちばん誤解されているところを書きます。
市販の道具が悪いわけではありません。同じ道具でも、経験のある職人が使えば綺麗に直せるかもしれません。問題は道具ではなく、使う人に経験と技術があるかどうかです。そしてやったことのない方が使うと、経験と技術が足りず、直りきらないことがほとんどです。
もちろん、道具そのものは大事です。当店でも選りすぐりの道具を使っています。ただ、その道具を活かせるかどうかが経験と技術で、いい道具を持っただけでは同じ仕上がりにはなりません。
「直った」という声はネット上にたくさんあります。それは嘘ではなく、正面から見れば分からなくなったという状態です。ただ、その車に光を当てて映り込みを見ると、たいてい波打ちや歪みが残っています。
理由は、デントリペアがどういう作業かにあります。デントリペアは、塗装の面に映り込む光の反射を読みながら、金属をミリ単位以下で押し戻していく作業です。押す場所も、押す量も、反射の歪み方から判断します。道具はその判断を形にするためのもので、判断のほうが先です。反射の読み方には訓練が必要で、ここが経験と技術の中身になります。
ですので、「多少残ってもいいから目立たなくしたい」ということであれば、当店から止める理由はありません。ただ「元通りにしたい」のであれば、慣れない状態で触るのはお勧めしません、というのが正直なところです。
道具ごとに、実際に何が起きるか
よく使われる方法を3つに分けて、当店が現場で見ている範囲でお伝えします。手順の解説はしません。
吸盤・グルータブなど「引っ張る」道具
凹みの表面に吸盤や樹脂のタブを貼り付けて、外側へ引っ張る方法です。市販のキットとしていちばん手に入りやすいものです。
起きやすいのは2つです。ひとつは塗装が持っていかれること。表面に強い力で貼り付けて引くため、塗装に負担がかかります。とくにホンダ車・スズキ車は、表から引っ張る市販品で塗装が剥がれる可能性が高いと当店では感じています。この2メーカーのお車では、使わないでください。
もうひとつは引けすぎ・引き足りないが残ることです。凹みの中心だけが引っ張られて周囲が波打ったり、逆に凹みの縁が高く残ったりします。この状態は正面からでは分かりにくく、光の下ではっきり出ます。
どこに貼って、どれだけの力で、何回に分けて引くか。この判断が結果を決めます。道具の説明書には書いていない部分で、ここが経験の差になります。
熱湯・ドライヤーなど「温める」方法
お湯やドライヤーで温めて戻す、という方法も紹介されています。ここで注意していただきたいのは、バンパーなどの樹脂の部品と、ドアやボンネットの金属パネルは別のものだということです。樹脂で形が戻ったという話を、金属パネルにそのまま当てはめることはできません。
なお、当店のデントリペアは金属パネルが対象で、バンパーなどの樹脂部品は対象外です。
パテ・タッチペンなど「埋める・塗る」方法
凹みをパテで埋めて塗る方法は、考え方がそもそも違います。埋めて塗った時点で、塗装をしない修理の対象から外れます。その後にきれいにするには、塗装を含む板金塗装の作業が必要になります。
板金塗装は塗装のプロの仕事で、当店が扱う領域とは別のものです。どちらが上ということではなく、塗装を残せるかどうかという分かれ道がここにあります。違いはデントリペアと板金塗装の違いで整理しています。
一度自分で触ると、そのあとどうなるか
ここがいちばんお伝えしたいところです。
一度触られた凹みは、直しにくくなります。綺麗に直りきらないことがあり、結果として最初にご相談いただいた場合より修理費が高くなることもあります。
どこまで直せるかは、正直に言うとものによりけりです。触ったあとでも問題なく直せることはあります。ただし、大幅に形を変えてしまったものは直せません。引っ張りすぎて金属が伸びてしまった、塗装が割れてしまった、という状態からは、塗装をしない修理では戻せません。
塗装が剥がれるとどういう見え方になるのかは、実際の写真をデントリペアの失敗例に載せています。当店の施工で起きたものです。小さな剥がれでも、塗装をしない修理ではそこから元に戻せません。
板金塗装のほかに、もう一つ選択肢があります
凹みを直す方法は板金塗装だけ、と思われている方が多いのですが、もうひとつデントリペア(PDR)という方法があります。日本ではまだあまり知られていません。
塗装をしないで、パネルの裏側から専用の工具で凹みを押し戻していく方法です。裏に工具が入らない箇所は、表面に道具を貼り付けて引き出す方法(プーリング)で対応することもあります。
塗装をしないので、こうなります。
- 色が合わない、という問題が起きません(元の塗装をそのまま残すため)
- 修復歴がつきません(パネルの交換も切った貼ったもしないため)
- 塗装の乾燥待ちがないので、その場で終わることが多くなります
ただし万能ではありません。塗装が割れている凹み、プレスライン(折れ線)が潰れている凹み、全体に深く大きい凹みは、この方法では対応できないことがあります。技術の詳しい話はPDR(ペイントレスデントリペア)とはにまとめています。
費用の考え方|どこで比べるか
自分で直そうと考える理由の多くは、費用だと思います。比べ方をお伝えします。
板金塗装の場合は、1パネルの塗装で約45,000円〜が目安です。お店や作業内容で差が大きく、材料や工賃の状況で変わっていく部分でもあります。パネルの交換になると、部品代と工賃でさらに高額になります。
当店のデントリペアは、サイズ別の基本料金を公開しています。いずれも税込・出張費込です。
| 凹みの大きさ | 基本料金(税込・出張費込) |
|---|---|
| 〜1cm | 11,000円 |
| 〜2cm | 13,000円 |
| 〜3cm | 18,000円 |
| 〜5cm | 22,000円 |
| 〜7cm | 24,000円 |
7cmを超える凹み、ピラーの中など作業しにくい難所、深い傷を伴う凹み、複数箇所は個別のお見積もりとなり、基本料金より高くなることがあります。
もうひとつ知っておいていただきたいのは、ディーラーや車屋さん(販売店・整備工場)を経由すると、外注のマージンが乗って割高になりやすいことです。板金塗装店に持ち込まれた場合も、基本は塗装での修理になると思われます。塗装を残す選択肢は、専門店に聞かないと出てこないことが多いはずです。
金額の比べ方をもう少し詳しく知りたい方は、車の凹み・へこみ修理の値段と依頼先の選び方をご覧ください。
お車の凹みがいくらになるかは、写真1枚でおおよその幅をお伝えできます。
当店でも直せない凹みがあります
「何でも直せます」とは言いません。デントリペアは、こういう凹みに向いていません。
- ピンポイントで深く入っている凹み
- プレスライン(折れ線)ががっつり潰れている凹み
- 全体的に深くて大きい凹み
- 凹みの中に深い傷が入っているもの(反射が乱れて精度に限界が出るため、完璧な仕上がりにならないことが多くなります)
- 塗装がすでに傷んでいる箇所
これらは、無理に受けると失敗の可能性が上がります。当店では難しいと判断した凹みはお断りしています。お断りするのは冷たいようですが、失敗を避けるにはそれがいちばん確実です。判断の基準はデントリペアで直せる凹み・直せない凹みに書いています。
仕上がりを見てから決めてください
文章で「綺麗になります」と言われても判断できないと思います。実際の施工写真を載せます。


ほかの事例は車の凹み修理の事例集にまとめています。小さな凹みの判断については車のえくぼは直せる?、ドアパンチの詳しい話はドアパンチの凹み修理をご覧ください。
お車の凹みも、同じように直せるかもしれません。写真を1枚お送りいただければ、対応できるかどうかをお返事します。
よくあるご質問
Q. 車のへこみは自分で直せますか?
道具の問題ではなく、経験と技術の問題です。同じ市販の道具でも、経験のある職人が使えば綺麗に直せるかもしれません。ただ、やったことのない方が使うと経験と技術が足りず、直りきらないことがほとんどです。直ったように見えても、光を当てて映り込みを見ると歪みが残ります。デントリペアは塗装面の反射を読みながらミリ単位以下で形を整える作業で、どこをどれだけ押す(引く)かの判断が先にあります。
Q. 吸盤で引っ張るのはどうですか?
表面に強い力で貼り付けて引くため、塗装に負担がかかります。とくにホンダ車・スズキ車は塗装が剥がれる可能性が高いため、使わないでください。また、どこに貼ってどれだけの力で引くかの判断が結果を決めます。慣れない状態で引くと凹みの周囲が波打ち、その状態からの修正は難易度が上がります。
Q. 熱湯やドライヤーで温めれば戻りますか?
バンパーなどの樹脂部品と、ドアやボンネットの金属パネルは別のものです。樹脂で形が戻ったという話を、金属パネルにそのまま当てはめることはできません。なお当店のデントリペアは金属パネルが対象で、樹脂部品は対象外です。
Q. 一度自分で触ってしまった凹みも直せますか?
ものによりけりです。触ったあとでも問題なく直せることはありますが、綺麗に直りきらないことがあり、修理費が高くつくこともあります。大幅に形を変えてしまったもの、塗装が割れてしまったものは、塗装をしない修理では戻せません。現状の写真をお送りいただければ、対応できるかどうかをお返事します。
Q. デントリペアを自分でやることはできますか?DIY用の工具も売っていますが
工具は市販されていますし、道具そのものが悪いわけでもありません。ただ、デントリペアは塗装面の反射を読んで、どこをどれだけ押す(引く)かを判断しながら進める作業です。判断のほうが先にあるため、道具を揃えただけでは同じ結果になりません。やったことのない方が試すと、経験と技術が足りず直りきらないことがほとんどで、直しにくい状態にしてしまうこともあります。
Q. 直す場合、いくらくらいかかりますか?
当店のデントリペアはサイズ別の基本料金で、〜1cm 11,000円、〜2cm 13,000円、〜3cm 18,000円、〜5cm 22,000円、〜7cm 24,000円(いずれも税込・出張費込)です。7cm超・難所・深い傷を伴う凹み・複数箇所は個別のお見積もりで、基本料金より高くなることがあります。塗装が必要な状態であれば、板金塗装で1パネル約45,000円〜が目安です。
最後に
凹みを見つけたとき、いちばん費用がかからないのは触る前に相談することです。当店は修理を頼まれることが目的ではなく、お客様にとって得な選択肢をお伝えすることを大切にしています。直せないケースは正直にお伝えします。
三重県桑名市のデントリペア専門店 SURREAL(代表 相良 吉昭)が対応します。三重・愛知・岐阜を中心に出張しており、片道50km圏内は出張費無料です。エリア外も対応できる場合がありますので、まずはご相談ください。対応エリアは出張対応エリアをご覧ください。

