デントリペアの失敗例|塗装が剥がれる・割れる・肌が荒れるのはどんな凹みか職人が解説
「デントリペア 失敗」で検索されている方は、これから依頼しようか迷っている段階だと思います。塗装をしないで直せると聞いたけれど、本当に大丈夫なのか。失敗したらどうなるのか。
結論から書きます。デントリペアに失敗はあります。そして、その多くは職人の腕以前に「その凹みがデントリペアに向いていたかどうか」で決まります。
この記事では、実際にどういう形で失敗が起きるのか、どんな凹みで起きやすいのか、そして失敗を避けるためにどう依頼すればいいのかを、隠さずに書きます。
デントリペアで起きる失敗は、主に3つ
デントリペアは、塗装の面に映り込む光の反射を読みながら、金属をミリ単位以下で押し戻していく作業です。そのため、失敗の形も塗装面に現れます。
1. 塗装が剥がれる
凹みを押し戻す過程で、塗装が剥がれてしまうことがあります。これは技術だけの問題ではなく、凹みの状態によっては避けきれない領域があります。とくに、塗装がすでに傷んでいる箇所や、金属が大きく伸びている凹みで起こりえます。
2. 押しすぎて塗装が割れる
凹みを戻す力が過剰になると、塗装が割れます。「あと少し」を欲張った結果として起きるもので、いったん割れてしまうと、塗装をしない修理では対応できなくなります。
3. 塗装の肌が荒れる
塗装表面の質感(肌)が、周囲と違って見える状態になることがあります。凹み自体は戻っていても、光を当てると施工箇所が分かってしまう仕上がりです。
この3つに共通しているのは、いずれも「元に戻す」方向の作業が、塗装の限界を超えたときに起きるということです。だからこそ、どこまで押せるかの見極めが仕事の中身になります。
失敗は「腕」より「凹みの状態」で決まる
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。失敗が起きやすい条件を挙げるとすれば、それは店選びの前にその凹みがどんな凹みなのかで、ほとんど決まります。
次のような凹みは、デントリペアにとって難しい部類に入ります。
- ピンポイントで深い凹み — 狭い範囲に力が集中して入っているもの
- プレスライン(折れ線)がガッツリ潰れている — ボディの稜線そのものが変形している状態
- 全体的に深くて大きい凹み — 金属の伸びが大きく、戻しきれる範囲を超えていることがあります
- 凹みに傷が入っている — 塗装面の反射が乱れるため、どこまで戻ったかを読む精度が落ちます
- すでに誰かが触っている凹み — DIYの吸盤やグルータブ、他所での施工後などです。一度触られた凹みは、綺麗に直りきらないことがあります
- アルミパネル — 鉄板と性質が違い、扱いが難しくなります。当店では対応を見送らせていただくことがあります
逆に言えば、塗装が割れていない浅く小さい凹みは、デントリペアが最も得意とする領域で、ここでの失敗はまず起きません。ドアパンチや、手のひらに収まるような凹みがこれにあたります。小さい凹みの扱いは車のえくぼ(小さい凹み)は直せる?で解説しています。
雹害修理で起きやすいこと
雹害の修理は、通常の凹み修理とは別の難しさがあります。1台に数十から数百の凹みがあるため、作業の性質そのものが変わるからです。
- 直し忘れ — 数が多いぶん、見落としが起こりうる作業です
- 押し戻しすぎて、逆に高くなっている — 出っ張った状態は、光を当てて見ないと気づきにくいものです
数十から数百という数を相手にする以上、見落としは起こりうる作業です。だからこそ当店では、直しながら1パネルごとに確認し、お渡し前にも全体を見直しています。直すことと同じくらい、確認には手間をかけています。
修理後の車は、引き取り時にご自身でも確認してください
お伝えしておきたいことがあります。過去に、他所で雹害修理を終えた車を拝見して、こちらで確認をやり直したことがあります。その車では、凹みを裏から押しただけで表面が高く盛り上がったままになっている箇所と、手がつけられていない凹みが多数残っていました。技術にも、確認の工程をどこまでやるかにも、店による差があるのが実際のところです。
ですので、雹害修理の車を引き取るときは、ご自身でも屋外の明るい場所や照明の下で、パネルに映り込む景色の歪みを見てください。凹みが残っていれば映り込みが歪み、押しすぎて高くなっている箇所も映り込みが乱れて見えます。確認の方法は雹害車のチェック方法で詳しく解説しています。引き渡しの後で気づくより、その場でお伝えいただくほうがはるかにスムーズです。
雹害修理の進め方については雹害車修理のページをご覧ください。
失敗を避けるいちばん確実な方法は「断ってくれる店」に頼むこと
ここまで読んでいただければ、答えは見えていると思います。デントリペアに向かない凹みを、無理にデントリペアで直そうとしたときに失敗が起きます。
正直に書きますが、デントリペアはきつい凹みには向いていません。当店では、難しいと判断した凹みはお断りしています。技術的に挑戦する価値があるかどうかではなく、お客様のお車を預かる仕事として、仕上がりに不安が残る施工はしないという判断です。
ですので、店選びで見ていただきたいのは「何でも直せます」と言うかどうかではなく、次の点です。
- できないことを、できないと言うか
- 施工前に、塗装が剥がれる可能性や歪みが残る可能性を説明するか
- 仕上がりの確認をどうしているか
塗装が割れている凹みや、深く大きな変形は、板金塗装のほうが適切です。その場合は正直にそうお伝えします。両者の違いはデントリペアと板金塗装の違いで整理しています。
当店が施工前にお伝えしていること
当店では、ご依頼をお受けする前に必ずお伝えしていることがあります。
- 凹みの状態によっては、押し出す過程で塗装が剥がれるリスクがあること
- わずかな歪みが残る可能性があること
- 凹みに深い傷が入っている場合、完璧な仕上がりにならないことが多いこと
- 当店では難しいと判断した場合は、その旨をはっきりお伝えすること
「必ず元通りになります」とは申し上げません。現車を見たうえで、どこまで直せそうかを正直にお話ししたうえで、ご判断いただいています。
📷 その凹みが「向いているか」からお答えします
失敗が心配な方こそ、まず写真を送ってください。LINEで凹みの写真をお送りいただければ、修理できるかどうかと、おおよその料金幅をお返事します(正式なお見積りは現車確認のうえ)。当店では難しいと判断した場合も、その旨を率直にお伝えします。
デントリペアの失敗に関するよくある質問
Q. デントリペアの失敗にはどんなものがありますか?
主に3つです。凹みを押し戻す過程で塗装が剥がれる、押しすぎて塗装が割れる、塗装の肌が荒れて施工箇所が分かってしまう、というものです。いずれも「元に戻す」方向の作業が塗装の限界を超えたときに起こります。
Q. 失敗しやすいのはどんな凹みですか?
ピンポイントで深い凹み、プレスライン(折れ線)が潰れている凹み、全体的に深くて大きい凹み、凹みに傷が入っているもの、すでに誰かが触っている凹み、そしてアルミパネルの凹みです。逆に、塗装が割れていない浅く小さい凹みはデントリペアが最も得意とする領域で、ここでの失敗はまず起きません。
Q. 一度DIYで触ってしまった凹みは直せますか?
直せることもありますが、綺麗に直りきらないことがあります。市販の吸盤やグルータブで引っ張ると、直ったように見えても光を当てると歪みが残り、その状態からの修正は難易度が上がります。特にホンダ車・スズキ車は塗装が剥がれる可能性が高いため、市販品の使用は避けてください。
Q. 雹害修理で気をつけることはありますか?
1台に数十から数百の凹みがあるため、直し忘れや、押し戻しすぎて逆に高くなっている状態が起こりえます。出っ張りは光を当てて見ないと気づきにくいものです。当店では直しながら1パネルごとに確認し、お渡し前にも全体を見直しています。引き取りの際はご自身でも明るい場所で映り込みの歪みを確認されることをおすすめします。
Q. 失敗しない店を選ぶには何を見ればいいですか?
「何でも直せます」と言うかどうかではなく、できないことをできないと言うか、施工前に塗装が剥がれる可能性や歪みが残る可能性を説明するか、仕上がりの確認をどうしているか、を見ていただくとよいと思います。デントリペアはきつい凹みには向いていないため、無理に受けない店のほうが結果的に安心です。

