車検と、尿漏れした大先輩と、ナンバー灯の裏切り
先日、愛車のプリウスαの車検に行ってきました。ユーザー車検です。結論から言うと無事に通ったんですが、まあ最後にひと悶着ありまして。今回はその記録です。
準備は夕方から。日中は無理です
この時期、日中に外で作業なんてやってられません。アスファルトの照り返しで、しゃがんだ瞬間に地面から蒸し焼きにされます。というわけで車検の準備は日が傾いてから。日陰と気力が同時に戻ってくる時間帯を狙います。
今回の整備メニューはスタビリンク。点検したらゴムのブーツが破れていたので、部品を発注して交換しました。

緩めるのはインパクト、締めるのはトルクレンチ
正直、面倒くさい作業です。なので緩めるのはインパクト一択。相棒はマキタの600N・mのインパクトなんですが、これがもう頼りになりすぎる。EG6のハブナットも一撃ですからね。あの固着した憎きナットが、力を込めることもなく「バリバリッ」で終わる。人類はここまで来たかと。
昔、ロングスピナーに全体重をかけて、足で踏んで、それでも回らなくて泣いていた日々は何だったのか。
ちなみに外したナットは、その辺の地面にぶん投げています。整理整頓? しません。あとで探します。そして毎回ひとつ見つからなくて青ざめます。学習しないw

で、締めるときはきっちりトルクレンチ。走行中に足回りのボルトが緩んだら笑い話では済みません。ここだけは絶対に手を抜かない。
ちなみに、たまに誤解されるんですが、本業のデントリペアにこの「豪快に緩める」パートは存在しません。外から見ると裏から棒で押して戻す作業なので力技だと思われがちなんですけど、実際は押す瞬間こそ一番繊細なんです。パネルの裏に工具を入れて、指先で「今、金属が動いた」という感触を拾いながら、ほんの少しずつ起こしていく。強く押した瞬間に、その凹みは二度と元に戻らない別の歪みに変わります。
工具は豪快、仕事は最初から最後まで繊細。まったく別の筋肉を使っている感じですね。
21万3千キロ。プリウスが壊れない
ついでにブレーキまわりや他の消耗品もひと通り点検しましたが、やっぱりプリウスは優秀。壊れません。パッドも全然減らない。回生ブレーキのおかげでブレーキそのものをあまり使わないから当然といえば当然なんですが、それにしても減らなさすぎです。

光軸だけは、餅は餅屋
予約は翌日の第4ラウンド。なぜか自信がありました。だってこれまでの愛車たちと比べたら、個人的にはまだ新しい車ですから。21万キロ走ってますけど。シビックやスカイラインを触っていた人間にとって、「壊れない車」というのはそれだけで未来の乗り物なんです。あの頃は乗るより直している時間のほうが長かった気さえします。
ただ、ひとつだけ気がかりが。光軸です。夜に走っていて「なんかこれ、上向いてないか?」と薄々思っていました。
で、一瞬こう考えたんです。「デントで鍛えた目なら、光軸くらい自分で合わせられるのでは?」
……やめました。デントリペアの目はあくまで板金面の歪みを読む目であって、10m先の光の散り方を読む目じゃないんですよね。近くの1/100mmは見えても、遠くの1度は見えない。餅は餅屋です。素直にテスター屋さんでチェックしてもらいました。
結果、とんでもない向き。月でも照らしてたんか? 対向車のみなさん、本当にすみませんでした。反省しています。というか、なんであんなに上を向いていたんだろうか。心当たりが本当にない。夜道で「妙に遠くまで見えるな」と思っていたあの快適さは、他人様の視界と引き換えだったわけです。
自分の専門外は素直にプロに投げる。これ、うちにデントを依頼してくださるお客様と同じ判断だなと思いました。
「ちょっと降りてみてくれる?」

普通車の車検って、意外と滅多に来ないんですよ。何年かに一度なので毎回ちょっと勝手を忘れて戸惑います。それでも「まあ余裕でしょ」と、若干ドヤりながらレーンに並びました。
すると検査員の方が近づいてきて、一言。
「ちょっと降りてみてくれる?」
(かっこいい車すぎて褒められるやつかな……)
ナンバー灯が片側切れていました。
しばいたら、今度は車が凹みかけた
ついてたのに! 家を出るときは絶対ついてたのに! 昔の家電の要領で、とりあえずしばいてみました。ブラウン管テレビ世代の民間療法です。
そしてここで問題が発生します。叩きすぎて、車が凹んだかと思いました。
さっき「押す瞬間が一番繊細」とか偉そうに語った人間が、自分の車を、素手で、検査場の目の前で全力で叩いている。実際もしかすると、ガーニッシュ付近が少し歪んだかもしれませんw
まあ、凹んだところで直せるのが唯一の救いです。これに関しては世界で一番慌てなくていい立場にいる。練習台が増えたと思うことにします。(強がり)
で、肝心の電球は蘇生せず。オワタ。
ルームランプからもぎ取る
ここで詰みかけました。第4ラウンドは最終回。今から部品を買いに行って並び直す時間はありません。
……いや、詰んでない。ルームランプからもぎ取ればいいのでは?
思いついた瞬間には手が動いていました。無限のパワーで内張りをこじって、電球を無事に引っ剥がすことに成功。おかげで内張りには新しい傷が増えました。涙。まあ元々、工具であちこち傷つきまくってるので今さらではあります。仕事道具を積む車はそういう運命なんです。
ちなみにナンバー灯が切れているだけで車検は通りません。地味ですが立派な不合格項目です。みなさん、出発前にすべての灯火を点けて車を一周してください。この記事で唯一の実用情報です。
無事合格。あと検査員さん、空調服にしませんか

そんなこんなで無事に車検取得。ありがとうございました。
それにしても、あのクソ暑い検査場。検査員さんの制服、キツくないですか? エアコンなんて当然ないし、次から次へと車が入ってくるから排熱もすごい。あんな環境で一日中、下回りを覗き込んで確認して……頭が下がります。
空調服にしたらいいのに。いや本当に。あれは装備の問題であって根性の問題じゃないと思うんですよね。うちの現場も夏は地獄なので、他人事とは思えませんでした。
あと2年、どこへでも
足回りリフレッシュ、光軸調整済み、ナンバー灯(※ルームランプ由来)も点灯。あと2年、日本中どこへでも走れる状態になりました。鹿児島も青森も、呼ばれれば行きます。
北海道は……本当は船で行きたいんですよ。フェリーで愛車ごと渡って、そのまま現地を走り回るやつ。憧れます。でもうちのプリウス、四駆じゃないんですよね。冬の北海道であれは怖い。
なので理想はこうです。現地で激安の四駆を調達する。できればサビで床が抜けそうなやつ。足元から地面が見えるくらいのやつ。あれに乗ってみたい。デントリペア屋が乗る車として最高に矛盾していて良いと思いませんかw(ボディがサビてる時点でデントの出番がない)
沖縄も喜んで行きます。海を見ながら施工したい。ただ、ひとつ気になっていることがありまして。
塩害でサビた車って、裏から突いたら穴が開くんじゃないか?
これ、笑い事じゃなくて割と真面目な話でして。デントリペアは金属が金属として粘ってくれることが大前提の技術なんです。サビて薄くなった鉄板は、伸びる前に負ける可能性がある。だから雪国や海沿いの車を触るときは、凹みより先にサビを見ます。「直せるか」の前に「触っていい状態か」を見極める。ここを飛ばす業者に大事な車を預けてはいけません。
……と真面目な話をしましたが、正直、一度くらいは突き抜けてみたいという好奇心もありますw もちろん自分の車で。
そんなわけで、準備は万端です。雹害の大量案件も、遠方への出張施工も、板金屋さん・車屋さんからのご相談も、お気軽にどうぞ。お仕事のご依頼、お待ちしております!
